遅めのランチ。何か簡単なもので済ませてしまおうと、パンケーキを作ることに。 まだ東京にいた頃、ポテト入りのを作ろうとしてスライサーで小指の先までスライスしてしまって以来作ってなかった。 記憶をたよりにミルクと小麦粉をボールに入れて、卵を落とし、戸棚をあけて泡立て器をさがす。こんなのんびりでも平気だって僕には…。 あれ、ソノマの泡立て器はどこ? ああ、あれは彼女のものだった。もういないんだよな。 妻と別れてもうすぐ8年か。それからすぐに東京からもどってきたんだっけ。 だまをすりつぶすように混ぜ合わせて。そう、もりつけるのに南仏のかわいいお皿もない。 出来上がりだけは二人で食べていたころよりはよくなっているのだけれど。 どうぞ、主よ、今日私の戸をたたき、食卓をともにかこんでください。 今、こちらは僕のだったル・クルーゼでマスが煮えている。
